このホームページの神奈川咬合機能回復研究所からのご挨拶にも書きましたとおり、正しい咬合に必要な上部構造に位置を先ず想定し、それに必要なところにインプラント体を埋入する.このコンセプトをトップダウントリートメントといいますが,インプラント体を埋入したいところに歯槽骨(顎骨)の骨量が足りないといったケースは多くあります.これを解決する手段が歯槽骨造成法です。この歯槽骨造成法は骨の欠損状況に応じてごく小規模なものから大掛かりなものまでいろいろな方法があります。
各文献で造成と増生と言う異なった言葉が使われる場合がありますが、英語ではともにAugmentationという単語で表され、増加させると言った意味では同じです。このホームページでは生物学的側面から造成と云う言葉を用いています。
外側性骨造成とは顎骨に対して外側,すなわち口腔の方向に骨量をかさ上げする事と定義します.つまりやせ細った顎骨に自家骨も含む移植材料で盛り上げる事を意味します.一方,内側性骨造成とは空洞の内側に向かって骨造成をする事と定義して,順次説明をします
外側性骨造成術
歯槽堤造成術
当院で行っている歯槽堤造成術は歯槽骨の欠損の大きさによって変えています。
小,中規模な場合はGBR+バイオス(自家骨を含む場合もあります)、大規模な場合は基本的に自家骨を使う事が多いですが、多くの場合,口腔内から採骨(自分の骨をとってくる)するようにしています。もっと欠損が大きくなれば関連病院(横須賀共済病院、神奈川歯科大学附属病院、小山記念病院)などで全身麻酔下で造成手術を行います。
内側性骨造成術
サイナスリフト
上顎洞底と歯槽頂の距離がインプラント体を埋入するにあたり不十分な場合に行います。つまり上顎洞底部に移植材料を移植することにより骨のかさ上げをして、充分な骨量を得るようにします。
サイナスリフトには2つの方法があり、一つは側方開窓テクニック、他方は歯槽頂テクニックを用いる方法です。これら二つの術式にはそれぞれ特徴はありますが、確実性から云うと側方開窓テクニックに軍配が上がります。
そもそも上顎洞は4つの副鼻腔のひとつで,最も容積の大きな空洞を形成しています.
左のオルソパントモエックス線写真ですが,上顎方向に示している矢印の先には薄い骨(歯槽骨)しかありません.これではまともなインプラント治療はできません.その改善方法として上顎洞側壁に約1.3センチ程度の窓を開け,上顎洞粘膜骨膜を破らないように一枚の膜として骨面より剥離します.さらにこの粘膜骨膜を上方に剥離してドーム状にし,上顎洞底部との間に移植材料をいれます.そして3〜6か月の待機時間を置き,移植材料の周りに自分の骨の増生を待ってからインプラント埋入手術をします.ただし既存骨が4〜5ミリ程度あれば,サイナスリフト手術と同時にインプラント埋入が可能です.
手術症例は数多くありますので,頃合いを見てUPします。